フラットコーテッド・レトリーバーの主な特徴 |
●活発で社交的
フラットコーテッド・レトリーバーは狩猟のために作出された犬種です。彼らは死んだり傷ついたりしたゲーム(狩猟鳥)をやわらかく優しく傷つけないように咥え、マスターの所まで運ぶ役割を果たしてきました。そして仲間の犬たちと協力して、一日中一生懸命働く気力とスタミナも必要とされていました。こういった背景から、彼らはとても活発で社交的な犬です。言いかえると猟犬として作り出された経緯が根底にあって今のフラットコートの素晴らしい性格と能力があるのです。それらは繁殖者が一番に守っていくべきものです。
●スキンシップを求める
彼らはとても [なめたがり] です。それから、飼主の腕を鼻で掘り起こしたり、袖口を咥えたりして散歩に誘うことが大好きです。彼らにとっては飼主と常に一緒にいることほど幸せなことはないのです。彼らは飼主にたくさんの愛情と注目を求め、同じようにたくさんの愛情を返してくれます。
●好奇心旺盛
彼らは非常に好奇心の旺盛な犬で、若い時に訓練しないと自立的な犬になり、破壊行動を起こしたり、騒々しい犬になったりします。けれども正しく訓練されたフラットコートは、実猟犬でも、ショードッグでも、服従競技犬でも、アジリティドッグでも、フライングドッグでも、セラピードッグでも、災害救助犬でも、何でもうまくこなせるのです。
●水が好き
彼らは「水」が大好きです。小さい水溜りであれ、冬の冷たい川であれ、広い海であれ、喜んで飛び込みます。ただしお風呂はそれほど好きではないようです。犬が泳ぐときの足どりは[側対歩]です。
●レトリーブが生きがい
レトリーバーという名前が示すとおり絶えず何かしら運びたがります。この本能は、ときに靴下やナイロン袋を飲み込み、開腹手術を受けるといったやっかいな事態を引き起こすとがありますから、十分に気をつける必要があります。何か咥えているときはそれを持ってくるよう誘導し、差し出したら誉めるようにして、本能をうまく引き出してやりましょう。
●牡と牝
アメリカのあるブリーダーが牡と牝の態度の違いをこう表現していました。
Dog:"I love you. I love you. I love you."
Bitch:"You love me. You love me. You love me." |
フラットコーテッド・レトリーバーの歴史 |
●19世紀
19世紀の間の火器弾薬の改良と、飛ぶ鳥を撃つ技術の採用で、狩猟者たちは、射撃後にゲームを回収してくる犬の必要性を感じていました。このタイプの猟犬に必要な要素は、レッサーニューファンドランドやラブラドール、スパニエル、セッター、ポインターにあるとされました。それらの犬の間での交雑と選択繁殖によって、レトリービングの能力が得られました。
こうして出来た犬のうちの一種「ウェイビー-コーテッド・レトリーバー」は非常に人気が出て、猟場管理人や狩猟者たちに広く使われました。この「ウェイビー-コーテッド・レトリーバー」が現代のフラットコートの始まりでした。狩猟者たちはフラットコートを、第一次大戦中までに非常に優秀な猟犬に発達させたのです。この流行犬種をもっと平らなコートにするために1890年代ごろコリー種が導入されたようです。
●20世紀
のちにラブラドールとゴールデンは独立した犬種としてケネルクラブに承認されましたが、19世紀から20世紀にかけてのショーリングでは、フラットコート、ラブラドール、ゴールデンは同じ犬種として出陳されていました。
フラットコートは「黒」を選択的に繁殖してきましたが、1930年代には「レバー」が作出され、1940年に犬種の色として承認されました。
異種レトリーバーとの交雑や、もともとフラットコートを生み出すために使われた犬たちの毛色に関する遺伝子が混じったせいで、いまだに黒やレバーのフラットコートから黄色いフラットコートや白いマーキングのある犬が生まれる可能性があります。こういった色の犬は犬種標準から外れていますが、避妊去勢処置をすればよいパートナーになります。(ただし、胸やパッド間のわずかな白い毛は珍しいことではなく、受け入れられています。)
第二次大戦後フラットコートは人気が衰え、存続が危ぶまれる状態になりました。そこでイギリスの繁殖者たちは、犬種を救うために、戦乱で血統書をなくしたフラットコートや、血統書はないけれどフラットコートと思われる犬を繁殖に導入したり、ラブラドールとの異種交配を再開したりして、やっと繁殖に必要なジーンプールを確保したのです。この危機的状況においても彼らは性格を優先させ、性格の悪い犬は決して繁殖には用いませんでした。このためほとんどのフラットコートの祖先は共通で、非常に狭いジーンプールだと言われています。実際にどの犬も二十数世代遡ると、一頭の有名な犬
[Darenth] にたどり着きます。
●資料
フラットコートの歴史について一番詳しい本は
Nancy Laughton 著 「A Review of The Flat-coated
Retriever」です。これにはフラットコートの祖先をなす犬たち、レトリーバーの成り立ち、ウェイビー‐コーテッド・レトリーバーについて本当に詳しく解説してあります。
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犬種標準 |
●フラットコーテッド・レトリバー・ソサエティ(UK)犬種標準
●フラットコーテッド・レトリバー・ソサエティ・オブ・アメリカ(USA)Breed Standard
●JKC Breed Standard JKCのホームページにはありません。犬種標準の本を参照ください。
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フラットコーテッド・レトリーバーの毛色遺伝 |
●フラットコートにおける毛色の遺伝
フラットの毛色である黒、レバー、そしてスタンダードで失格の色イエローの発現に関する基礎知識です。
●VetGenの色素遺伝子検査受診方法
実際に体験したことをまとめてあります。
●色素遺伝子検査結果
個人のサンプリングできちんと検査できました。結果はカレンダー2003年7月22日をご覧ください。 |
日本にいるフラットコーテッド・レトリーバー |
●JKC登録数
| 1993-169 |
1994-244 |
1995-371 |
1996-525 |
1997-892 |
1998-1113 |
1999-1655 |
| 2000-1698 |
2001-1838 |
2002-2086 |
2003-1586 |
2004-1420 |
2005-966 |
2006-806 |
| 2007-586 |
2008-544 |
2009-532 |
2010-416 |
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(*1993年から1997年は家庭犬、1998年はJKCスタッドブック1999年よりJKCサイト参照)
日本は世界一のフラット産出国です。この十年でなんと十倍に増えました。一時期の大型犬人気が去って繁殖数が落ち着いてきました。しかしまだ[HDやPLで苦しむフラット]がどの国より沢山いるのも現実です。繁殖をする人には親犬の健康面に十分注意して公的証明を取った犬のみで行うこと、健康でない犬を出すと分かった親犬は避妊去勢することを守って、健康で性格の良いフラットを作出して欲しく思います。
●JKCスタッドブック
犬種別一年ごとの冊子版繁殖簿、1998年版からです。JKCに登録されたフラットコートすべての名前が載っています。犬籍登録課に電話すれば料金を教えてくれ、代金を送れば購入できます。
●フラットコートを日本に最初に輸入したのは
HALLO WING ケネルです。イギリスのショーで、1980年にクラフト展ベスト・イン・ショーをとったCh/IRCh
Shargleam Blackcap をご覧になってフラットコートに惚れ込み、後に牡と牝を輸入され、数胎繁殖されたようです。海外から犬を輸入すること自体、犬に関する正確な情報が得られにくくとても大変な事業です。そのうえ本当に大切にしている犬を目の届きにくい海外に出すシリアスブリーダーは少ないものです。現在の日本で登録のほとんどを占めるのは、アメリカから輸入された犬の子孫たちです。ちなみに繁殖簿で最近日本に輸入された犬の出身国をみると、アメリカ、オーストラリア、スウェーデン、イギリス、フランスでした。 |
フラットコーテッド・レトリーバーで問題になっている疾患 |
残念なことにフラットコートは本質的に脆弱であると言う文献があります。
< Sadly there is a documented historic inherent weakness within the
breed. >
●平均寿命は七歳半といわれています。
●フラットにおける遺伝疾患として公にリストアップされているものは白内障・二重睫・眼瞼外反・眼瞼内反・股関節異形成(HD)・甲状腺機能低下症・進行性網膜萎縮症(PRA)の七項目です。しかしこれは最小限のリストであり、 当然少数ながらほかの疾患も存在します。2006年4月から血統書に股関節(JAHD)の検査結果を記載開始しました。
●進行性網膜萎縮(PRA)と白内障について
1992年に英国ケネルクラブと英国獣医師会の統括眼科専門医会は、PRAと白内障の遺伝性疾患リストからフラットコートを外しました。英国のフラットコートにこれらの遺伝性疾患は見られないと専門家が判断した為です。しかし、ブリードソサエティは、生後1年目で犬の検査をするよう呼びかけていますし、種犬は定期的に毎年、牝犬は繁殖前に検査を受けるべきです。 |
各疾患の簡単な説明 |
●HD(股関節異形成)
フラットコートは比較的HDが少ない犬種といわれてきましたが、実際にHDを発症し手術を受けた犬が何頭もいます。近年の愛犬雑誌は必ずと言っていいほどHDについてふれています。子犬を購入する際には両親の股関節について公的証明を提示するよう繁殖者に求めましょう。もし親犬の名前が分かるのであればOFAならウェブサイトのサーチセクションにて検索することができます。
日本で受けられる股関節の証明方法にはJAHD、PennHIPとOFAがあります。PennHIPは認定医による検査が必要ですが、JAHDとOFAでは整形外科専門獣医師のレントゲン写真でなくても、正しい姿勢の写真であれば受け付けてくれます。提出すれば約三週間で結果が送返されてきます。繁殖に使う犬はもちろんのこと、ドッグスポーツをする犬は事前に検査して状態を確認するべきです。
また自分の犬の歩き方、座り方が気になるなら、あれこれ悩むより、レントゲンを撮ってJAHDかOFAに出し、診断してもらってください。杞憂ということもありますし、もしHDと診断されても、その後の生活コントロールによって発症を防ぐこともできます。
HDとは股関節の状態のことを言うのであり、HDと診断されても症状の現れていない犬もいるのです。とにかく実情を把握することが一番です。
[F/C情報ページに案内あり]
●Patella Luxation(膝蓋骨脱臼)
膝蓋骨脱臼を起こすフラットが他のレトリーバー種に比べ明らかに多くいます。最近は愛犬雑誌でもこの事態を取り上げるところが出てきました。これもHD同様に程度によっては手術が必要ですし、早期診断早期治療がベストです。
フラットには立ち膝の個体が多くいて、そういう体型的特徴ゆえに他のレトリーバーより脱臼しやすく、またリューマチを起こしやすいという特異体質によって治療も難しいとのこと。
膝が悪いと前十字靭帯断裂や半月板の損傷を併発することがありますし、逆に十字靭帯断裂等を起こしていることが膝蓋骨脱臼を誘発することもあります。
膝蓋骨脱臼の手術や靭帯断裂の確定診断はとても難しいので、整形が専門の獣医師にかかることを奨めます。特にフラットの膝の手術は [フラットの手術経験豊富な獣医師] に執刀してもらうことが肝心です。
JAHDとOFAでPatella Luxationに関する証明をしています。検査申込書はPatella単独のものです。
[膝疾患に関する基礎知識]
発症時期により考えられる関節疾患の種類と、膝疾患の有無を知る簡単なテスト方法を紹介しています。
●白内障および緑内障
眼の病気も比較的少ないとはいえ存在します。老犬になると健康な犬でも白内障を発症しやすくなります。繁殖に使う犬は定期的に検査して確認するべきです。緑内障を調べるためには眼圧の測定が必要です。
●隅角発育不全(Goniodysgenesis)
隅角発育不全とは、原発性閉鎖隅角縁内障に起因する先天的異常です。発見は隅角鏡検査によってのみ可能です。隅角鏡検査は特殊な検査なので優秀な眼科医による毎年の進行性網膜萎縮(PRA)と白内障の検査をもってしても発症を突き止めるのは困難である事が今までの記録から分かっています。また因子を持たない犬同士を掛け合せても、因子を持つブリードストックを生み出さないという保証はないので、各世代ごとに検査する必要があります。検査を長期に渡って行う程、若い世代の個体がより改善するからです。ブリーダーは、犬質と健康問題が良好であれば、25%まで因子を保有する牡犬、牝犬を繁殖に使用する事があります。これらの牡と牝は、必ず因子を持たない集団に掛け合わせるべきです。そして生まれた子犬たちはブリーダーのもとを離れるまでの早い時期に、もしくは6ヶ月以内に、検査を受ける事を推奨します。
●ガン
残念ながらガン発生率の高い犬種です。これはイギリスおよびアメリカで調査研究された上での結論で、平均寿命は七歳半とのことです。日本でも同様の傾向です。他の犬種なら様子をみる小さなしこりでもフラットコートに様子見は禁物です、きちんと細胞診を実施してください。早期発見・適切な治療・適切な管理によって、再発なく長期生存が可能になる犬もいます。
イギリスとアメリカ、カナダ、オランダはケンブリッジ大学のDNAリサーチにリンクした癌リサーチに参加しています。またアメリカNIH内エレイン・オストランダー研究室では悪性組織球症に対しフラットコートの感受性が高い原因となる遺伝子的変異を研究中です。
●甲状腺機能低下症
レトリーバーの中ではフラットに多い疾患です。甲状腺ホルモン量を測定することで診断が付きます。OFAでも検査を受け付けていますが、サンプルの送付方法が問題で受診は難しいようです。
●アレルギー、自己免疫疾患
●ブロート
胃拡張・胃捻転をおこしたフラットの話をいくつか聞きました。体型的、体質的になりやすい子もいますが加齢も一因です。予防法として、食餌は数回に分けて少量ずつ与え、いつもと様子が異なるときは即座に獣医師に掛かること。夜間診療をしてくれる獣医科病院を前もってリストアップしておくことをお勧めします。
●[日本ベエツグループHP にある小宮山典寛先生著「犬種別病気マニュアル」が参考になります]
●動物の病気と薬に関する情報 http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/yakuri/animaldrugs.htm |
備考:フラットコーテッド・レトリバーにおける希少症例 |
●再生不良性貧血
●急性骨髄性白血病
●門脈シャント
●成長板障害
●悪性組織球腫症
●(英国)前上顎骨が退化し、鼻がねじれる希少症例を調査中 |
| (参考文献:FCRS案内小冊子) |